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塩麹について少し詳しい説明




 昨今、テレビ等の情報番組で食べるラー油に続く調味料として、「塩麹」が注目を集めていることは、御存知のことと思います。

 「塩麹」は、至ってシンプルな調味料です。米麹に塩を混ぜます。それに水を加えて熟成させると、軽くトロミがつきます。それが、「塩麹」です。
嘗めるとしょっぱくて、後でほんのり甘味が残ります。

作り方
米麹に対して、その重量の1/3の食塩を混ぜます。その混ぜたものと同量より少し少なめ水を加えます。重量比で表わすと、米麹15:食塩5:水17程度が一般的な配合のようです。
それを常温で1週間程度置き、1日に1回は空気を入れるようにかき混ぜる。この割合で混合すると、塩分は、13.5%となります。

これを少し科学的に解説すると、麹菌の作った酵素によって、米のでん粉やたん白質などが分解されることにより、とろみや甘み、旨みと感じられる物質ができる。さらに、酵素が含まれた塩麹を使うことにより、素材が分解されて、甘みや旨みがでる。ということです。

塩麹の説明で「麹菌の働きを塩でコントロールする」と書かれた誤った資料を見たことがあるので、あえて書きますが、麹菌は、塩と混ぜられた時点で死滅します。ただ、麹菌の作った酵素は残っていますので、物質の分解を進めて行くということです。

塩麹に使われる麹菌は、詳しく分類すると黄麹菌で、アスペルギウス属のカビで、アスペルギウス・オリゼーと言う分類種になります。そして、その麹菌を米に繁殖させる目的は、プロテアーゼ、アミラーゼ等原料高分子物質の加水分解に必要な酵素を生産させることです。
以下が麹菌が生成する酵素とその働きです。

酵素名働 き
プロテアーゼ プロティナーゼたん白の可溶化、ペプチドの生成
       ペプチダーゼ遊離アミノ酸の生成
アミラーゼ  α‐アミラーゼでん粉の液化
       グルコアミラーゼグルコースの生成
リパーゼ脂肪酸の遊離
ペクチナーゼ大豆(米、麦)組織の分解
ヘミセルラーゼ     〃
セルラーゼ     〃
チロシナーゼ(酸化酵素)麹の褐変
ホスファターゼリボ核酸の分解
フィターゼ(ホスファターゼの一種)大豆、米のフィチンからイノシトールの生成
ホスホリパーゼA,B,C,D大豆のレシチンからコリン、イノシトール脂質からイノシトールの生成
エステラーゼエステルを酸とアルコールに分解、POBB分解など
グルタミナーゼグルタミンをグルタミン酸に変える
その他の酵素4EGの母体のフェルラ酸、p‐クマル酸などは小麦中の配糖体・リグニン物質に麹菌酵素が作用して生成
新・みそ技術ハンドブック(全国味噌技術会)より

以上のように、麹菌は様々な酵素を作ります。しかし、この酵素もほとんどが80℃以上になると、壊れてしまい本来の働きは出来なくなります。逆に言うと、高温にすることにより、永遠に続く酵素の活動を止めることが出来ます。

使い方
以上のようなことから、「塩麹」の使い方としては、大きく2つの方法が考えられます。
一つは、酵素によって分解された米麹の持つ甘みや旨みを調味料として、使う方法。もう一つは、塩麹の酵素を使って素材を分解して、素材からの甘みや旨みを出して行く方法です。

一番目の使い方は、塩麹の味を生かす方法なので、そのまま味付けに使うと言う調味料としての使い方ですので、一般的な塩麹の塩分の13.5%を前提にして味付けを行ってください。ただ、13.5%の食塩を使うことに比べて、甘みがありますので、よりマイルドな複雑な味にあることは、間違いありません。また、ご存知のように、味噌や醤油と言った和風の調味料も麹を原料としていますので、合わせて使っても相性は良いでしょう。

二番目の使い方は、酵素の働きを素材に生かす方法なので、ある程度の時間は、塩麹に素材を漬けるなり塗しておく必要が出てきます。その時間によって、塩麹の中の酵素が素材を分解し、甘みや旨みを引き出します。ただ、漬けておく時間が長いと、塩分が13.5%あるために、素材に塩分が入り過ぎて、塩味が強くなってしまいます。一晩漬ける場合には、水(湯冷まし)で倍に薄めると、使いやすいでしょう。もちろん、その際は冷蔵庫にて保管してください。

保存方法
第一は、一度漬け床などに使った塩麹は、細菌的な問題が生じる可能性が高いので、元の容器に戻さないことです。使い切って下さい。
また、酵素が活発に活動する温度帯は、30〜50℃です。その温度帯は、細菌も増殖がしやすい温度帯です。これ以上温度を上げて80℃を超えると、細菌も死んで行きますが、酵素も変性して本来の働きをしなくなります。さらに、酵素は、塩分が低いほうが活性化します。塩麹の場合は、塩分が13.5%と高いことによって、細菌的な面の防御がされていると同時に酵素の活動を緩慢にしています。だから、塩麹を作る期間を短くしたい場合は、細菌的なリスクを恐れずに、塩分を低くして熟成を早める方法があります。
このように、この配合割合は、酵素の活動と雑菌の繁殖とのバランスをみて、長年の経験によって編み出されて割合ではないかと思います。


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